KVRフォーラムで発表されているフリーのシグナルモデリングFXシリーズ三作目。
2008/2 プレビュー情報のみ公開されていた
ダイナミクス・プロセッサ 「Density」 v1.0 リリース (2008/4/13)
プレビューv0.9では VUメータを中心にすえたヴィンテージな外観でしたが
リリースv1.0は デジタル・メータとミックス・パッドを持つモダンな外観となりました。
[用途]
・ ミックス/サミング後のステレオ・トラックを馴染ませる (glue things together)
・ 繊細で心地よい音への色付け (signal colouring)
・ フレキシブルなMS処理ルーティングにより、その他の用途にも幅広く使える
[機能]
● ナチュラルでスムースで控えめな、一貫性あるコンプレッション
・ 「phatモード」でコンプレスのアーティファクトを抑制
・ プログラムに応じたモダンなリリース曲線
● 位相ずれのない内部ミックス (wet/dry mix による パラレル・コンプレッション)
● シームレスな MSコンプレッションと ブレンド (L/R/M/Sミックス・パッド)
● サイドチェーン・フィルタ (HP/BP)
● トランス・カップリング回路のモデリング
・ ゼロ・レイテンシー
・ SSEオプティマイズ対応
[マニュアル]
http://ja.wikizic.org/bootsy-Density/wiki.htm (翻訳中)
[情報源]
http://www.kvraudio.com/forum/viewtopic.php?t=206363___________________________________
注:サチュレータ/マキシマイザ/ダイナミクス・プロセッサの区別が曖昧な方が居られる
ようなので、簡単に解説・・・
■サチュレータ
真空管等アナログ回路(あるいは時としてテープ・レコーダ)特有の「飽和特性」による、マイルドなコンプレッションと歪みのシミュレーション。
(飽和特性:入出力が直線性を失った動作領域の特性。過大入力、動作点ズレが原因)
1. ギター用に歪みを主目的とした物
2. 「ヴィンテージ機材の荒々しく汚れた質感の再現」を目的とした物
3. マスター・テープのコンプレッション感の再現を主目的とした物
がある。
1.はオーバードライブやディストーション等との区別が曖昧にされる事が多く、また
2.は、よく似た目的のウォーマー(真空管等アナログ回路の「歪み特性」による「ウォームな音色」のシミュレート)との区別が曖昧にされる事がある。なお
3.はテープの磁化曲線の飽和特性を再現したもので、通常はサチュレータとは呼ばず「テープ・シミュレータ」と呼ぶ(と思う)。
■マキシマイザ
広義には、「なんらかの出力の最大化」を売りとした商品全般に用いられる商標。
最大化対象は「各周波数の信号レベル」、「ラウドネス(音量感)」、「いわゆる音圧感」、
から「モバイル・オーディオIFの入出力」、「社員のやる気」、「売上高」まで実に様々。
より狭義に、誰もが名前を挙げる「マキシマイザ」エフェクトとしては
・ Waves Ultramaximizer
・ UAD-1 Precision Maximizer
・ BBE Sonic Maximizer (いわゆるラウドネス・マキシマイザ。ハース効果のための群遅延)
等がある。 上記以外では、よく似た用途のエフェクトを別の名前で提供していたり、
あるいは よく似た名前で全然別物を提供している事も多い。
マキシマイザ と 歪み物 を混同する原因 (推定;^^)
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1. 過剰なマキシマイズ処理で荒れた音を「自分の音の特徴」とする人が多いから。
2. 有名エフェクトの代替品作成が流行した時期、有名製品のそれとは明らかに違う、
「歪みで色付けしたマルチバンド・コンプ」がマキシマイザ名称で配布されたから。
3. 有名製品の一機能要素にリミッタ/コンプがあるのを見て、
マキシマイザ=リミッタ=歪み物 という二重の勘違い。
■ダイナミクス・プロセッサ
広義には、主に音量等の動的特性を操作するエフェクト全般。
よく知られている例は コンプ/エクスパンダ/リミッタ/ゲート等。
・ 上記は全てスレッショルド・レベル前後の増幅率の操作(圧縮/伸張)で実現される。
[スレッショルド・レベル以上の信号を圧縮/伸張]
1. コンプ 圧縮比=n:1 (n>1)threshold以上で増幅率を1/n乗カーブに変更
2. エクスパンダ 圧縮比=1:n (n>1 、伸張)
3. リミッタ 圧縮比=n?∞:1 (通常 n>>1、brickwallで n=∞)
[スレッショルド・レベル未満の信号を圧縮]
4. ゲート 圧縮比=1:0 (ミュート)
・ スレッショルドの検出には、処理対象となる入力信号をそのまま使うケースと、
別信号や入力信号を加工して使うケースがあり、後者を「サイドチェーン」と呼ぶ。
・ スレッショルド前後それぞれの増幅率は 単純には「直線的」と説明される事が多く、
実際そのように実装したデジタル・コンプも存在するが、聴感上の不自然さがある。
アナログ・コンプの名器や最近のアナログ風デジタル・コンプでは
自然なコンプレッションを狙って「上に凸」の音響心理的カーブを採用する物も多い。
・ またプラグインでは、アナログ時代の名器を歪みも含めシミュレートしたものも多い。
より狭義には、上記メジャー・エフェクトに対し、より洗練され特化されたちょっとだけマイナーなエフェクトを、この呼称で差別化しているように見える。
例えばトランジェント・プロセッサ(コンプ/エクスパンダと違い、アタック成分を積極的操作)、
あるいはマキシマイザ製品等の商品説明での使用、等。
ダイナミクス・プロセッサ と 歪み物 を混同する原因 (推定;^^)
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1. 音量操作全般、特にブリックウォール・リミッタは、少なからず歪みを発生するから。
2. 多くのソフトが売りにする「アナログ回路シミュレーション」は常に歪みを伴うから。
3. マキシマイザと勘違いして過大入力して歪みまくっても気にしない人が居るから。
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